2007年 05月 04日
西から東 また西へ <ラザロ制作ノート 複廃編4> |
吉岡文平
「僕らとも一緒にやって下さいよ!」
ひときわ大きな声が、深夜のチェーン居酒屋に響いていた。安普請の床やテーブルは振動しやすい。震源は森田くんたちだ。「東京を舞台でやりましょうよ」
場はすっかり『蒼ざめたる馬』の続編計画で盛り上がっていた。「たいへんやぞ。お前ら、ちゃんとやれんのか?」などと、井土も応じている。「大丈夫っすよ。俺ら死ぬ気でやりますから、なあアキラくん」森田くんの舌は、どこまでも軽やかだ。
木村くんたち京都の学生が 企画を持ち込むよりずっと前から、大学でシナリオを教わっていた彼らにとって『蒼ざめたる馬』の出現は、まさに青天の霹靂とでもいうべき出来事だった。先を越されたという嫉妬と、井土監督はそんなことを本当に引き受けてくれるのかという驚きが混然となって、とにかく焦っている・・・私の目にはそのように映った。
やがて彼らの熱波の飛沫は、私の方にも向かってくる。「俺がよくても、まあでも吉岡くんが OKと言わんことにはな」と、井土も水を向ける。「吉岡さんどうですか!」「そうやのう・・」私は例によって曖昧に頷くだけだった。毎度のことだが、これでもノっていない訳ではないのだ。“マユミがさらにパワーアップして大活躍する続編”企画・・・私なりにこの話題には興奮しているのだ。だがすまん、大はしゃぎするのはどうも苦手な質なんでね。
しかし、構想は面白くとも 軽々に返事などできない。私はノリだけで 無責任に「よし、やろう」とは言えない立場だからだ。
「たまにはやるって言えねえのか!」アタマの中では“棺桶の錠”が苦言を呈す。「物事は、そう単純にはいかねえんだ」今度は“主水”が諭す。『超人バロム1』なみの分裂・葛藤ぶりだなと、ひとり苦笑する。
まあでも、近い将来に彼ら日大チームとの共同作業が、何らかきっとあるんだろう、そんな予感だけで、このままとことん皆と盛り上がってお開きかな。今夜は十分楽しんだ。
実現の可能性については、また明日素面の冷静なアタマで、もろもろ思案してみます・・・こんなところではないかと、黙って総括し 焼酎のお代わりを注文した。
が、次の瞬間 まったく予期せぬことが起きた。伊勢映画人会の西村氏が思いもかけない言葉を発したのだ。
「実は、伊勢でも映画を撮りたいんですが、ぜひ一緒にやって頂けませんか」
!!!?
「僕らとも一緒にやって下さいよ!」
ひときわ大きな声が、深夜のチェーン居酒屋に響いていた。安普請の床やテーブルは振動しやすい。震源は森田くんたちだ。「東京を舞台でやりましょうよ」
場はすっかり『蒼ざめたる馬』の続編計画で盛り上がっていた。「たいへんやぞ。お前ら、ちゃんとやれんのか?」などと、井土も応じている。「大丈夫っすよ。俺ら死ぬ気でやりますから、なあアキラくん」森田くんの舌は、どこまでも軽やかだ。
木村くんたち京都の学生が 企画を持ち込むよりずっと前から、大学でシナリオを教わっていた彼らにとって『蒼ざめたる馬』の出現は、まさに青天の霹靂とでもいうべき出来事だった。先を越されたという嫉妬と、井土監督はそんなことを本当に引き受けてくれるのかという驚きが混然となって、とにかく焦っている・・・私の目にはそのように映った。
やがて彼らの熱波の飛沫は、私の方にも向かってくる。「俺がよくても、まあでも吉岡くんが OKと言わんことにはな」と、井土も水を向ける。「吉岡さんどうですか!」「そうやのう・・」私は例によって曖昧に頷くだけだった。毎度のことだが、これでもノっていない訳ではないのだ。“マユミがさらにパワーアップして大活躍する続編”企画・・・私なりにこの話題には興奮しているのだ。だがすまん、大はしゃぎするのはどうも苦手な質なんでね。
しかし、構想は面白くとも 軽々に返事などできない。私はノリだけで 無責任に「よし、やろう」とは言えない立場だからだ。
「たまにはやるって言えねえのか!」アタマの中では“棺桶の錠”が苦言を呈す。「物事は、そう単純にはいかねえんだ」今度は“主水”が諭す。『超人バロム1』なみの分裂・葛藤ぶりだなと、ひとり苦笑する。
まあでも、近い将来に彼ら日大チームとの共同作業が、何らかきっとあるんだろう、そんな予感だけで、このままとことん皆と盛り上がってお開きかな。今夜は十分楽しんだ。
実現の可能性については、また明日素面の冷静なアタマで、もろもろ思案してみます・・・こんなところではないかと、黙って総括し 焼酎のお代わりを注文した。
が、次の瞬間 まったく予期せぬことが起きた。伊勢映画人会の西村氏が思いもかけない言葉を発したのだ。
「実は、伊勢でも映画を撮りたいんですが、ぜひ一緒にやって頂けませんか」
!!!?
by spiritualmovies
| 2007-05-04 22:57
| 制作日誌