2007年 04月 12日
ラザロ制作ノート <蒼馬編 その3> |
吉岡文平
「もしもし・・・」甲高くかすれた 非常に聞き取り辛い声が、受話器の向こうから響いた。木村くんだった。声の具合から、映画祭代表という彼の激務を想像し、まず同情した。“場”を仕切る立場の人間、その孤独と重圧は私なりによく理解しているつもりである。後に知ることになるが、その声質は彼本来のものであり、彼が抱えている実務と直結してイメージしたのは、私の早合点ではあった。
彼とのやり取りから 一通り様子を理解した私は、漠然と予感していた。「これは多分、私も行くことになるのだろう」と。
その後、木村くんをはじめとする中心スタッフが上京し、シナリオの打ち合せを行なった。私としては、体制・枠組の話こそしたかったのだが、その時間はほとんど無かった。なぜなら彼らは、主に別の用向きのために上京していたのだ。撮影を企画した中心メンバーは、すなわち映画祭運営のメインスタッフだった。出品作品の審査絡みで、彼らは東京に来て 私とも初めて会ったというわけだ。言いようのないジレンマに身悶えしながら、私はひとり最悪のシナリオをも想定し、準備に取りかかった。
「もしもし・・・」甲高くかすれた 非常に聞き取り辛い声が、受話器の向こうから響いた。木村くんだった。声の具合から、映画祭代表という彼の激務を想像し、まず同情した。“場”を仕切る立場の人間、その孤独と重圧は私なりによく理解しているつもりである。後に知ることになるが、その声質は彼本来のものであり、彼が抱えている実務と直結してイメージしたのは、私の早合点ではあった。
彼とのやり取りから 一通り様子を理解した私は、漠然と予感していた。「これは多分、私も行くことになるのだろう」と。
その後、木村くんをはじめとする中心スタッフが上京し、シナリオの打ち合せを行なった。私としては、体制・枠組の話こそしたかったのだが、その時間はほとんど無かった。なぜなら彼らは、主に別の用向きのために上京していたのだ。撮影を企画した中心メンバーは、すなわち映画祭運営のメインスタッフだった。出品作品の審査絡みで、彼らは東京に来て 私とも初めて会ったというわけだ。言いようのないジレンマに身悶えしながら、私はひとり最悪のシナリオをも想定し、準備に取りかかった。
by spiritualmovies
| 2007-04-12 22:53
| 制作日誌